『求める』を作る
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『凄く楽しかった。近い内また泊まりに来てもいい?』
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まだ暑くなりすぎていない朝方6時50分。
帰り際にそう告げて、改札を通り抜ける物件。
小さな体は颯爽と階段を下って行った。
8/5
そもそも、この日はアポイントだった。
以前に連絡先を交換して、細々とメンテナンスをし、突然、一緒に呑みたい!と逆アポが来た案件。
もはや、感じのいい子だったという記憶だっただけで、顔や声などは覚えていないほどだった。
メンテの感じは、メンヘラな感じがするな、
少し心の弱い子だな。
そんな感じだった。
友達を連れてくるとのことで、
こちらもいつもストに合流させて貰っている、
スト師のサイトーさん(@puasaito)に連絡したものの、
都合が合わず、
結局会社の後輩を招集した。
スト師の仲間がもっと欲しいと強く思った瞬間でもあった。
集合は21:00に某ローカル駅であった。
19:30までは順調に連絡が返ってくるものの、
20:00を過ぎた辺りから連絡が途絶える。
結果、20:45になっても、19:30に送った私のメールに返信が無かった為、アクションをストに変更し、気持ちを作り始める。
身支度を整えつつ、城咲仁ルーティン。
私はストに出る前の、この時間が好きだ。
『よし、やるぞ。俺なら出来る。大丈夫。』
そう言い聞かしてシャワーを浴び、
そう言い聞かして髪のセットをし、
そう言い聞かして服をチョイスする。
この日ももれなくルーティンをこなし、
じわじわと気分を昂らせて、外に出た。
とてもアポをドタキャンされた男とは思えない程に、心はこれから始まるゲームへの期待に満ちあふれ、ワクワクしていた。
この時既に結果は決まっていたのかも知れない。
じわっと汗が出てくる暑さの中でパンダ街でスト決行。
会社の後輩、Twitterで連絡をくれた恋愛工学生の方と合流し各自声かけをしていた。
額にじんわり汗をかきながら、順調に声かけ。
その日はなんだか口の回りが良く、オープンを繰り返すも奏功せず。
ガンシカもほとんど無かった。
ただ、 番げも連れ出しもなかった。
ただ、時間が経過していった。
大丈夫、案件はまだいる。
そう言い聞かせてまた歩を進めていた。
少し暑さにやられた僕は、
ふと後輩と合流し、コンビニで飲み物を買って一休みをしようとした。
飲み口をあけ、乾杯。
その瞬間、通りすがりに僕の目をみて、
ニコッと笑う背丈の小さな子が通る。
ストロング缶を一口飲み、今から少し休もうとしたところで、その子は現れた。
目を見つめられての笑顔は絶対に逃さない。
なんならIOIにも感じるその笑顔。
3秒ルールは大事にしているが、
この時ばかりは1秒で出足を切った。
少し早歩きなその子を追い、半歩前へ。
『こんばんは!早歩き大会開催中なの!?俺も参加するわ!俺、早歩き市民大会2位だから!』
どこかで見たようなフレーズ。
ネタ系で声かけ。
顔をよく見ると、割と端正な顔立ちで、
きれいに巻かれた髪とその顔立ちは育ちの良ささえ感じれた。
反応は良かった。
『え!びっくりした〜!いいよ!じゃあ〇〇駅まで競争ね!よーい、ドン!』
『ちょ…!はや!笑』
『顔からエゲツない量の汁出てくるから中止中止!!笑』
『笑』
オープンはこんな感じだった。
そこからは駅まで並行トーク。
夜のお店上がりの子だった為、
この子を「キャバ子」とする。
キャバ子は22歳、大学を卒業後に新たな興味を発見し、その夢に向かってもう一度自身でお金を貯めて、別の大学に行こうとしている努力家だった。
お家柄は両親ともに、お堅い仕事をされており、育ちの良さを感じた根源がそこにはあった。
そんな事を話し、駅に着いたものの呑みの打診をし、通過。
居酒屋へ連れ出し。
フェーズを意識し、まずは雑談から深いパーソナルな部分に移行していく。
話していると良く回りの見える子という印象。
夜のお店で働いてるからという事もあるかもしれないが、それを差し引いても気の使える子でとても気持ちの良い接し方が出来る子でもあった。
8割は向こうに話をさせようとするも、
気を使ってなのかこっちの事も色々と聞いてくる。
これはioiではない。夜の仕事の子もしくは気の使える子の特有のコミュニケーションだ。
そう判断し、時間をかけてsexハードル下げのフェーズに移行して行く。
彼氏は一か月前に別れたらしく、
話を聞く限り浮気をされて別れたのだと思う。
引きずってはいないと言うものの、その話をしている目の奥にはまだ少し寂しさがある様に感じた。
勿論、一か月に別れてから魅力的な男との出会いもある筈なく、体だけの関係も無し。
仕事と勉強を頑張ってるとの事だった。
『こう見えても私真面目なんだから!笑』
相変わらず、こちらの話も引き出されていく。
ただ、ここに来て複数のioiが出てくる。
ガタイがよく見える私ポーロであるが、ボディタッチが格段に増える。
また、『声かけて貰って良かった。楽しい!』
パレス連れ出し判断はここだった。
真面目なキャバ子の親から、キャバ子へ着信。
「早く帰ってきなさいね、何時に帰ってくるの?」
「中学の時の友達と飲んでるから今日は終電乗れなさそう!」
そう伝えながら、いわゆるテヘペロと言われる顔をしながらこちらを微笑むキャバ子。
一気にレモンサワーを飲み干し、お会計を済ませる。
次行くよ!!
そう伝え、どこに行くのー??と聞かれながらもまぁまぁと流しタクシーに乗り込む。
最寄りのコンビニで降りて、お酒を買う。
静かな所でゆっくりしよう。
その一言で十分だった。
小綺麗に片付けてあるいつもの部屋に入り、
再度、和みを再開する。
最早、このフェーズは不要にも思ったが、
『PUAはいつでも求められる立場であるべき。』
そんな言葉が頭をよぎったが故、
敢えてもう少しだけ時間をかけようと思った。
これが奏功した。
体を寄せてきて、甘えてくるキャバ子。
そこからはノーグダで即。
スタイルが良く、笛や動きが上手で、
満足する即。満即であった。
ピロートークをしながら笑顔の理由を聞く。
『なんか、雰囲気良かった!』
『なんだそりゃ』
自然と入眠。
朝方、キャバ子の親からの着信で起きる。
『急いで帰らなきゃ!笑』
ポロパレス最寄りの駅まで手を繋いで歩き、
笑い話をしながら別れを迎えた。
改札前につき、キャバ子が小さめの声で呟く。
『凄く楽しかった。近い内また泊まりに来てもいい?』
次のアポイントは決めなかった。